暮らしの中のおぶつだん
仏壇の起源は床の間の「しつらえ」です。 平安時代末期や室町時代には、中央に仏様の軸を掛け、その前の床板に三具足を飾って礼拝しました。 その後、江戸時代になって、寺の内陣を模した金色の仏壇や重厚な唐木の仏壇を住居の中に安置するようになり、 仏教に帰依すると同時に亡くなられた方のお位牌を、ご本尊さまの傍に安置して、 その加護を受け安穏に住していただきたいという思想が、今に伝わる仏壇の型式になったのであります。 つまり仏壇とはご本尊をご安置する神聖な場所で、「家の中のお寺」とも言い換えられると共に、 ご先祖様を祀る大切な場所であり、仏壇はその前に身を置いた私たちに、生きざまを問いかけてくれる存在でもあると思います。 朝起きて身を浄め、仏壇に向って合掌し、一家のしあわせと祖先の冥福を祈る瞬間は、 一日の中で、もっともすがすがしい一瞬ですが、祈りにふれ、 仏壇の前で、花をいけ、お茶をたて、家族がだんらんしたり、親しい人達と語り合うのも、また楽しいものです。 仏壇が、日々の生活に溶け込み、よろこびもかなしみも、仏壇とともにあるのが、わたしたちの暮らしです。 |